含鉄泉の特徴・効能
含鉄泉の特徴
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主成分:温泉水1kg中に総鉄イオン(Fe²⁺、Fe³⁺)が20mg以上含まれる温泉。炭酸水素塩系と硫酸塩系の2種類がある。
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外観:源泉は無色透明だが、空気に触れると鉄が酸化し、黄色~赤褐色(茶褐色)に変化する。このため「赤湯」とも呼ばれる。
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臭い:鉄分が酸化すると、さびたような独特の臭いを発する。
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希少性:国内では比較的珍しい泉質。
主な効能
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①貧血の改善
鉄分が皮膚や飲泉を通じて吸収され、鉄欠乏性貧血の改善に効果がある。 -
②血行促進・保温効果
体の芯から温まり、冷え性の改善や血行促進、リウマチ性疾患、神経痛、筋肉痛、腰痛、五十肩などの緩和。 -
③女性特有の症状緩和
更年期障害、生理不順、子宮発育不全など「婦人の湯」として女性に人気。 -
④免疫力アップ
血行促進によりリンパの流れが良くなり、免疫力向上が期待できる。 -
⑤皮膚疾患の改善
慢性湿疹や苔癬(たいせん)などの皮膚疾患にも効果がある。 -
⑥抗酸化作用
鉄分による抗酸化作用で老化防止にも役立つ。
注意点
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ⅰ)肌への刺激:酸性度が高い場合があり、敏感肌の方は注意が必要。
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ⅱ)飲泉:鉄分は飲泉でより吸収されるため、飲泉可能な施設では医師の指導のもと利用する。
含鉄泉の代表的な温泉地
草津温泉(群馬県)
日本三名泉の一つ。含鉄泉を含む多泉質温泉地として有名。
有馬温泉(金泉/兵庫県)
日本三古湯のひとつで、鉄分を含む「金泉」が特徴。
登別温泉(北海道)
9種類もの泉質が湧き出す日本有数の温泉郷。含鉄泉も楽しめる。
指宿温泉(鹿児島県)
砂むし温泉が名物。含鉄泉を含む多泉質温泉地。
鳴子温泉(宮城県)
奥州三名湯のひとつ。多彩な泉質の中で含鉄泉も湧出。
雲仙温泉(長崎県)
雲仙地獄巡りで有名。含鉄泉、酸性泉、硫黄泉が混在。
長良川温泉(岐阜県)
清流長良川沿いの温泉街。含鉄泉が楽しめる。
強羅温泉(神奈川県)
箱根エリアの高台に位置。含鉄泉を含む多泉質温泉地。
須川温泉(秋田県)
栗駒山登山口の雲上のいで湯。含鉄泉の露天風呂が自慢。
黄金崎不老ふ死温泉(青森県)
鉄分が酸化して茶褐色に変化する「黄金の温泉」。
関温泉(新潟県)
「婦人の湯」と呼ばれ、女性にやさしい泉質。
鉄輪温泉(大分県)
昔からの湯治場で、温泉蒸しも有名。含鉄泉を含む。