酸性泉の特徴・効能
酸性泉の特徴
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泉質定義
酸性泉は、pH値が低く(酸性度が高い)、温泉水1kgあたり1mg以上の水素イオンを含む温泉です。 -
pHという概念は水素イオンが多いか少ないかという指標であり、水素イオンが多いと酸性度が高くなります。中性とされる7.0を基準にして、水素イオンが多くなればなるほどpH値が低くなります。
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色・外観
無色透明、または微黄褐色(うすい黄色がかった色)が一般的です。 -
味・臭い
酸味があり、独特の刺激臭が感じられることがあります。 -
成分
硫黄、塩酸、硫酸、ホウ酸、緑礬(りょくばん)、明礬(みょうばん)など、殺菌力や抗菌力が高い成分を含みます。 -
刺激
非常に刺激が強く、肌が弱い人や高齢者、病弱者には適しません。入浴後はシャワーなどで洗い流し、十分に拭くことが推奨されます。 -
別名
「傷の湯」「皮膚病の湯」「殺菌の湯」などと呼ばれます。
主な効能
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殺菌・抗菌作用
強い殺菌力があり、慢性皮膚病(白癬症、疥癬、水虫、慢性湿疹、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬など)の改善に効果が期待できます。 -
角質除去・自然治癒力向上
酸性成分が古い角質を溶かし、新しい肌へと導きます。自然治癒力を高める効果もあります。 -
美容効果
角質を溶かすことで、美容効果も高いとされています。 -
その他の効能
神経痛、筋肉痛、関節痛、慢性消化器病、痔疾、冷え性、疲労回復、健康増進など。
注意点
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刺激が強い
皮膚の弱い人や乾燥肌、高齢者、病弱者には向きません。 -
飲用は不可
そのまま飲むと胃をただれさせる恐れがあるため、飲用は避けるか、必ず薄めて医師の指示のもとで行ってください。
酸性泉に含まれる主な成分
酸性泉は水素イオンが一定程度以上含まれている温泉の総称であり、実は温泉地によってこの他に含まれている成分は様々です。
酸性泉に含まれる水素イオン以外の主な成分は以下の通りです。
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①遊離硫化水素(H₂S)
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②硫酸イオン(SO₄²⁻):硫酸酸性泉
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③塩化物イオン(Cl⁻):塩酸酸性泉
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④ホウ酸、明礬(みょうばん)、緑礬(りょくばん)
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⑤その他:火山ガス由来の成分や、岩石から溶脱したミネラルなど。
それぞれの成分ごとの代表的な酸性泉の温泉地例
①遊離硫化水素(H₂S)
強い臭気と殺菌力。硫黄泉と重なることが多い。
玉川温泉(秋田)、草津温泉(群馬)
②硫酸イオン(SO₄²⁻):硫酸酸性泉
火山性ガス由来。硫黄臭が強く、殺菌力が高い。
草津温泉(群馬)、玉川温泉(秋田)
③塩化物イオン(Cl⁻):塩酸酸性泉
火山性ガスや地層由来。刺激が強い。
登別温泉(北海道)、雲仙温泉(長崎)※一部源泉が該当する点注意
④ホウ酸、明礬、緑礬
殺菌・抗菌作用。火山由来の成分。
草津温泉(群馬)、玉川温泉(秋田)
※「塩酸型酸性泉」は日本では比較的珍しく、多くは「硫酸型酸性泉」が主流です。また、「塩化物泉」自体は必ずしも酸性泉ではありませんが、一部の源泉で酸性を示す場合があります。
補足
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草津温泉(群馬県):p H2前後の強酸性泉で、硫酸イオンや遊離硫化水素が豊富。
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玉川温泉(秋田県):p H1.2前後の強酸性泉。硫酸イオンや硫化水素が多く含まれる。
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登別温泉(北海道)酸性の硫黄泉や塩化物泉が存在するが、全てが酸性泉というわけではない。