日本の温泉の泉質の分類
単純温泉
アルカリ性単純温泉とは、温泉1kgあたりガス性の物質を除く溶存物質量が1,000mg未満・源泉温度が25℃以上・pH8.5以上の温泉のこと。
無色透明・無臭、刺激が少ない。
疲労回復、神経痛など
鬼怒川、道後、下呂温泉
塩化物泉
保温・保湿効果、湯冷めしにくい。
冷え性、切り傷、やけど
秋保、城崎、指宿温泉
炭酸水素塩泉
美肌効果、「美人の湯」。
皮膚の清浄、切り傷、やけど
湯村、鳴子、嬉野温泉
硫酸塩泉
硫酸塩泉は、温泉1kgあたりガス性の物質を除く溶存物質量が1,000mg以上含まれた温泉のうち陰イオンの主成分が硫酸イオンのものをいいます。
動脈硬化予防、肌の若返り効果。切り傷、やけど
玉造、河口湖、芦ノ牧温泉
二酸化炭素泉
炭酸ガスで血行促進。高血圧、動脈硬化、きりきず
有馬、別府、湯の児温泉
含鉄泉
鉄分多く茶褐色。
貧血、リウマチ、婦人病
長良川、登別、土湯温泉
硫黄泉
硫黄泉は、温泉1kgあたり2mg以上の総硫黄が含まれた温泉のこと。
独特の匂い、美肌効果。
リウマチ、糖尿病、皮膚病
草津、別所、雲仙温泉
酸性泉
殺菌作用強い、刺激あり。
皮膚病、胃腸病、神経痛
新玉川、岳、蓼科温泉
放射能泉(ラジウム泉)
微量の放射線。
痛風、高血圧、慢性皮膚病
湯の山、三朝、玉名温泉
■湯上りの際に洗い流した方がいいかの判断基準
泉質によっては、温泉の湯上り時に温泉成分を洗い流した方がいい場合があります。
環境省ガイドラインでは「刺激の強い泉質のみ洗浄推奨」と明記されています。
1)洗い流した方が良い泉質
酸性泉(特にpH2以下の強酸性)と硫黄泉(硫化水素型)は皮膚刺激が強く、入浴後は成分を洗い流す必要があります。
-
理由:
-
酸性泉: 殺菌作用が強すぎて皮膚バリアを損傷する可能性
-
硫黄泉: 角質軟化作用が過剰で肌荒れを引き起こすリスク
-
-
具体例: 秋田県の玉川温泉(強酸性)、群馬県の草津温泉(硫黄泉)
2)洗い流さない方が良い泉質
単純温泉・塩化物泉・炭酸水素塩泉・硫酸塩泉は皮膚への残留が治療効果を高めます。特に塩化物泉は皮膚表面に塩分膜を形成し、体のぽかぽかが長い間つづき、保湿効果も持続します。
- 単純温泉:無刺激で成分吸収の継続が期待できるため
- 塩化物泉:保湿膜形成のため
- 炭酸水素塩泉:角質除去効果を持続してくれるため
3)注意が必要な中間ケース
放射能泉(ラドウム泉)は微量放射線の持続効果を得るため洗い流さない方が良いが、肌が敏感な人は部分洗浄が必要。含鉄泉は茶褐色の成分が衣類を汚すため、軽く流す場合があります。